こんにちは!トモです。
今日はTED動画の「援助の新しい形」を紹介します。世界の貧困問題の解決について言及しています。
僕も昔から発展途上国の支援やボランティアについて自分でもやったり、他人の応援をしたりして携わってきました。
しかし、いつもそのやり方に矛盾を感じています。
現場のボランティアがとても非効率、非生産的なやり方を全く改善しようとしないこと。
ある時、ジャイカのスタッフに尋ねたことがあります。
「なんでもっと生産的・効率的な方法で行わないのですか?」
すると、びっくりする答えが返ってきました。
「ボランティアに生産性を求めることがナンセンスだよ。生産的にして何の意味があるの?やることに意味があるんだよ」
勿論、やることに意味はある。しかし、ボランティアの目的は簡単に言うと彼らの環境を今より良くすること。これに尽きると思う。
効率的にやれば2時間で終わる作業を1日(8時間)かけて行うのはやはり非効率だ。それを効率的にやれば1日で4工程こなせる。
そうすれば、全作業工程を早く終わらせることができる。これはボランティアや作業してくれる人の人件費を削ることができる。
集まった貴重な募金を無駄に使うことが省ければ、他にもっと役に立つことに使える。これもボランティアの立派な仕事の一つだと思う。
たとえそこに金銭が発生していないとしても食費や提供される住居費をカットできる。もしそれさえないとしても、作業員の労働力をカットできることだけは確かな無駄を省けることと言える。
非効率に6時間作業していた分の労働力を他の生産的なものに充てられれば、彼らの環境はさらに良くなる。効率的に行うことも立派な支援の一つだと思う。
やることはスタート地点にしか過ぎないのに、「やっていることに意義がある」と考え、そこで自己満足してゴールにしてしまっている。彼らにとって後の作業は惰性でしかないように思える。
勿論、中にはきちんと考えて、お金、時間、労働の無駄をできるだけ省けるように考えている方も大勢いると思う。
簡単じゃない方法でやることで、やっている感に満足をしている気がする。
これも、上の非効率・非生産的な話に通じるのだけど。
例えば、国内で不要になった服や文房具を発展途上の国に寄付するというもの。
緻密な計算で行われている組織は別として、これにも少し疑問がある。
例えば、ボランティア団体は不要になった文房具を送ってください、自ら現地に持っていきます。と呼びかける。
日本はモノ余りの時代なので、多くの人が文房具を何百円もの送料を負担してボランティア団体に郵送する。
ボランティアの人はできるだけ私物を少なくして、飛行機の預け入れ荷物に寄付してもらった文房具を詰めて現地に向かう。
そして現地の学校にペンやノートを配る。でも、一旦よく考えてみて欲しい。
寄付する人は使いかけ、もしくは中には壊れかけのペンを数百円かけて郵送する。
そして数人のスタッフが往復数万円~十数万円の飛行機で移動する。現地でも主要都市から地方の支援が必要な現場まで移動する。
これらにかかっている費用は決して少額とは言えない。もちろんスタッフの寝食にもお金はかかる。
そこでですが、インドやネパールで1本のボールペンを買うのにいくら必要かご存知ですか?
実は10円くらいで買えてしまいます。ノートも普通に使えるノートが30円くらいで買えます。
もし、あとどれくらい残っているかわからないペンや途中まで書いて使うのを辞めたノートを送るのに500円かけたとすると、
その500円を使って現地の文房具店で新品のボールペン32本と新品のノート6冊が買えます。
しかも、現地で物を購入するので現地の経済活動にも寄与することができます。
わざわざ運ばなくても、EMSを使えば安い運送費で現地まで多くの文房具を送ることも可能です。
どこか、労力をかけることにやりがいや意義があるように思われがちなボランティアですが、もう少し効率的な方法というのがあるのではないかと思っていました。
そんな時に見つけたのが、彼女の組織「ギブダイレクトリー」です。
彼女の行っていることはとても奇抜で今までの常識を覆すものですが、良い結果が生まれていることを考えると、これが正しい方法なのかもしれません。
彼女も支援と投資の効率化について言及していますが、僕も彼女の考え方に賛成です。
援助の新しい形
今までの方法
物やサービスの提供
ただし、例えば100$分の物やサービスの提供にもう100$分の手続きや諸々の経費がかかっている。
仲介業者の腐敗で実際に全ての物やサービスが平等に行き渡らない。
新しい方法
現金をモバイルなどを通じてネットマネーで渡す
結果どうなったか、皆の生活は向上し、よく働くようになった。
ただし、現金を渡すことで個別世帯の生活向上はできても、公共財創出や疾病の根絶、公的機関の強化は別で必要。
モバイルマネーのメリット
モバイルマネーは驚異的に成長している
中国やアフリカでは銀行のインフラが整う前にスマホというインフラが普及したことによって、キャッシュレス化が進んだと昔の記事で書いた。
日本で生活していると実感しづらいが、世界では現金よりもモバイルマネーの流通が盛んに行われている。
実際の現金を輸送する必要はないので、スマホでクリック一つ行うことで現地の人のモバイルマネーアカウントに送金することができる。
しかも非常に少額の手数料で。
何十億人にアクセスすることが可能
今までは山奥の少数の村に支援を届けようとすれば、その輸送費や移動費だけで多額の資金が必要だった。
なかなか見えない、手の届かない場所も多く存在する。
しかし、モバイルマネーでクリック一つで支援ができれば、スマホさえ持っていれば支援できる。
人が実際に行くのが困難な場所で生活する人も簡単に支援できる。
ダイレクトに支援することで腐敗が起きない
物品を届ける際、どうしても現地の人の手助けが必要になる。
するとどうなるか。仲介業者が天引きしたり、物品を横流ししたり、良い物は先にとられてしまったり。
そういった腐敗が起きて、実際に全ての物品が平等に届いているとは限らないのが現状だった。
支援する方も、そういった腐敗を恐れて支援の一歩を踏み出せなくなる。
しかし、モバイルマネーでダイレクトに支援できれば、腐敗が起きる心配がない。
世界平和につながるかもしれない
これは僕の考えであるが、極端に大きなことを言うとこの支援は世界平和につながるかもしれない。
貧困の不満を消す
まず、貧困格差があることで貧しい人たちは資本主義が生む格差(不平等)に不満があり、犯罪が起きる。
日本の犯罪率が少ないのは、1億総中流社会と言われるように極貧と呼ばれるような人達が存在しない、最低でもミドルクラス以上の生活が保てているから犯罪が少ないのかもしれない。
彼らの生活が向上し不満が少しでもなくなっていけば、犯罪率が抑えられる可能性がある。
マナー向上
これもキャッシュレス化の時に書いたが、これからキャッシュレス化が進行していけば、個人の信用度が重要になってくる社会になると思う。
それについては先ほども挙げた、以前い書いたキャッシュレス化の記事を読んでみて欲しい。
モバイルマネーでダイレクトに寄付をするようになると、誰に寄付をするのか寄付する側が選べるようになるのではないかと思う。
なぜなら、まっとうに生活し、生活を向上させたいと思っている人には寄付したいが、そのお金を使って悪いことを考えている人には寄付したくないと思うのが当然だからだ。
そうすると、寄付を受ける側も、真面目に働いてまっとうに生活しようとするのではないだろうか。
そういった指標が数値化されて見えるようになる。寄付する側は数値化された彼らの信用度で寄付を決める。
寄付を受けるために善い行いをするというのもおかしな話ではあるが、少なくともこういった仕組みが構築されていけば犯罪を犯す人は減るのではないだろうか。
貧困層の生活が向上し、彼らがマナーを守るようになれば、治安面、経済面で好循環が起きる。
その和が広がれば、世界は平和になる。
今までの考え方
今日の援助活動の裏側にある論理は、「少なくとも良いことをしている」という考え方。
これを目標にしてしまうと、自己満足に陥り、何もしないよりも支援しているからマシだと勘違いしてしまい、投資が非効率化してしまいます。
革新的な事をしていると思い込んで、報告書の作成に注力したり、飛行機代や車の購入にお金を使ってしまう。
まずは、この論理から考え直す必要がある。
まとめ
日本を見ても生活保護を利用してパチンコに行ってしまうなど、現金を直接支給することは当人の労働意欲をそぐと思っていたけど、アフリカのような発展途上国の人々は支給された現金で生活の向上を図り、投資という概念で物を修理したり、家畜を買ったりして、ビジネスや農業を通じて所得を向上させている。
支援やボランティアは決して自己満足を目標にするのではなく、本当に彼らの環境改善を考えてお金、時間、労力を投資する必要がある。
モバイルマネーによって、腐敗を防ぎ、何十億の人々にアクセスが可能、支援の手を差し伸べることができるようになった。
って話でした!