書評-日本の論点2018~2019

書評

こんにちは!本好きのトモローです。

 

今日紹介する本は大前研一さん著の「日本の論点2018~2019」です。

このシリーズは2013年から始まっているようですが、ちょうど旅に出ていたので本の存在を知りませんでした。

丁度本屋で見かけ、チラっと中を読んでみると面白そうだったのと、著者が大前研一さんだったので即買いしました。

僕も未来のことをしばしば予想したりするのですが、これは大前研一さんの視点で未来が今後どういう風に動いていくかに焦点を当てた本になります。

 

日本の論点 2018~2019

 

ラストワンマイル

国土交通省が14年のデータをベースに試算したところ、再配達のために費やされる走行距離は全体の25パーセントにおよび、再配達によるCO2の年間配収つ量は約42万トン。

杉の木約1億7400万本が1年簡易吸収できるCO2両に匹敵する。

また、再配達にかかる労働力は年間9万人(約1.8億時間)に相当するそうだ。

国土交通省は「過剰な再配達の発生は社会的損失」としているが、17年現在、エネルギー、環境、人材、道路渋滞など、あらゆる面でロスが拡大しているのは間違いない。

このラストワンマイルへの取り組みが宅配ビジネスの大きな課題である。

最近ネット通販以外にもインターネットオークションで購入したり、フリマアプリを使って物の流れが大量になっているのは普通に生活をしていて感じる。

僕の家でも毎日誰かしらの荷物が1日に最低1個から数個届く。

新聞を読んでいても、宅配便業者の悲痛の叫びがよく掲載されている。

僕自身、何かネットで買い物する場合はポストに自動で投函されるものか、自分がいる時間に配達してもらえるように極力頼むようにしている。

それでも時たま再配達の伝票がポストに投函されていて、再配達依頼をかけることがある。

ラストワンマイルという言葉は初めて耳にしたが、このラストワンマイルにどれだけ多くの社会的損失を生んでいることか。

地域ごとに大きな集荷所を設け、大きなロッカーを設置しておく。荷物はその中に入れておいて、メールで宛先の人物に荷物の到着を知らせる。

知らせを受けた人は、開いている時間に指定されたロッカーに行き、届いたメールの暗証番号を使って開けて、荷物を持って帰るような仕組みができるだけでも、少しは改善されるのではないだろうか。

 

百貨店やブランドの戦略

一部のブランド以外はある意味で百貨店以上に窮地に立たされている。たとえば時計。

10万円の高級ブランド時計も1500円の香港製の時計も制度や耐久性はそれほど変わらなかったりする。どちらも同じシチズンのモジュールを積んている場合が多いからだ。

ダウンジャケットなど防寒着の分野においてもユニクロなどのSPA(製造小売り)が1万円もしないで買える商品を出している。

高級ブランドの商品と、それ以外の値段が10分の1、100分の1で買える商品の機能的な差異はほとんどなくなっているのだ。

結局ブランドってそんなもの。物質的な価値はほとんど同様で、そこに異常なまでに膨らんだ情報価値が乗っているだけの話。

情報価値はほとんど付加価値の意味をなさない。強いてあげるなら「このブランドを持てる、買える経済力があります」ってアピールできることぐらいではないだろうか?

本当に心の底からそのブランドのこういう所が気に入っていて買っているという人はどれくらいいるのだろうか?

 

農業

農業をやめにあ理由は非常に簡単で相続税がかからないから。後継者がいて、30年以内に農業を再継続した場合、相続税を払わないで済む仕組みになっている。

クルマも、視察名目なら海外旅行も、経費で落とせるし、農協ルートでガソリンも安く買える。

農業を続けるメリットは農業以外の私生活分野にたくさんある。

TPPの話題が盛り上がってきた頃から農家や農業について少し興味は持っていた。

しかし、このような抜け穴があったとは知らなかった。

まあ、そういった法律の抜け穴なんて農業に限らずどんな業種業界も少なからずあるのだろうけど。

 

日本の地域農協にとって大いに参考になるのがオランダだ。国土面積が九州くらいしかないオランダは、農協の株式会社化とアグリテック化で、世界大2位の農産物輸出国にまでなった。危機感を持った日本の農協が株式会社化してアグリテックに取り組めば、オランダに負けない農業を生み出す可能性は高い。

実際、日本でも野菜の一部はそうなっていて、長野県川上村の高原レタスや群馬県嬬恋村のキャベツなどはIoTセンサーとデータベースを駆使した農業経営をしていて、農業者の年収は数千万円にもなる。

オランダの農産物輸出がなぜこれだけ優れたのか。オランダは単一品種を大量生産する非常に効率的な生産方法を取り入れているから。

それに比べて日本は超多品種少量生産という非常に非効率に生産しているため、大量ロットでの受注ができない。イチゴ一つとっても何百という種類があるという。

そんなニーズが本当にあるのだろうか疑問に思う。

また、農業とテクノロジーの融合には非常に興味ある。僕も何かのテレビ番組でテクノロジーを駆使して農産物を効率的に生産している様子を見たことがある。

今は、野菜を育てるのにもパソコンが役に立つ時代になった。そうして、効率的においしい野菜や果物を作って年収数千万を稼ぐ農家が沢山出てきたと聞くと夢がある。

 

北方領土問題

北方領土に対する日本とロシアの考え方には大きな齟齬がある。

日本の外務省が国民に説明してきたのは、「日ソ中立条約がまだゆうこうだったにもかかわらず、ソ連はこれを一方的に破棄して日本に宣戦布告、日本がポツダム宣言を受諾した後もソ連軍は侵攻を続けて筆法領土を不法に占拠、依頼実効支配を続けている」というものだ。

対して北方領土の両雄は第2次世界大戦の結果、戦勝国のソ連(当時)が獲得した正当な権利であると言うのがロシア側の主張であり、したがって「日ロ間に領土問題は存在しない」としてきた。

どちらの主張に理があるのかー。

史実に照らせば、これはロシア側が正しい。カイロ会談、ヤルタ会談など、戦後処理の話し合いの流れを精査すると、北方領土はソ連が勝ち取った「戦利品」なのである。

当時、スターリンはドイツのベルリンのように北海道を南北に分割して北半分をソ連が占領することを要求した。

病死したアメリカのルーズベルト代理棟梁に変わってトルーマン大統領が北海道分割案を拒否、戦勝権益として変わりに南樺太の返還と南クリル(北方四島)を含めた千鳥列島の両雄を提案した。

つまり、「北方領土を持っていけ」と言ったのはアメリカなのだ。

日ソ中立条約の破棄と対日参戦もルーズベルト大統領の要請によるものだし、北方領土への兵を勧めたのは米戦艦ミズーリ号の甲板上で日本が降伏文書にサインした9月2日以前。

つまり日本とソ連はまだ戦争状態にあったのだから、北方領土の占領は不法ではない。

しかも島民を1人も殺さずに送還してやったのにどこに文句があるというのがロシア側の言い分だ。

 

「ダレスの恫喝」とは56年8月に日本の重光葵外装とジョン・フォスター・ダレス米国務長官がロンドンで会談した際の出来事。ダレスが沖縄返還の条件として、北方四島の「一括返還」をソ連に求めるよう重光に迫ったのである。

 

ロシアとしてはせっかく返した北方領土に米軍基地を作られたらたまらない。しかし、(日本の領土という大義名分で)尖閣まで守ってほしいと懇願している日本政府が、アメリカに対して「北方領土だけは安保対象から外してくれ」などと言えるわけがない。

その意味で、「日本が”独立した国”として自分で意思決定できるまで、領土交渉は進まない」というロシアのラブロフ外装の発言は間違っていない、。返答に窮した阿部首相にプーチン大統領は、ぶっちゃけこう持ちかけたのではないか。

「無理だよな。そもそも沖縄返還を図りにかけて、二島返還と平和条約の締結を邪魔したのはアメリカだ。日本はそれを受け入れて、お前の大叔父の佐藤栄作は沖縄を返してもらった。ならば北方領土も同じ条件でどうだ?」

沖縄返還に際して、「ダレスの恫喝」以外に、もう一つ大きな付帯条件があった。外務省はひた隠しにしているが「沖縄の民政は返還しても軍政は返さない」ということである。

オスプレイが沖縄に配備されても、事故を起こしても政府が文句ひとつ言えないのは、軍政に関しては日本の主権が及ばないからだ。この一部は日本でも「日米地位協定」といういい加減な取り決めで知られている。しかし軍政の主権が返還されていないことを、日本政府は今日まで国民に説明してこなかった。

3カ所抜粋したが、いずれも北方領土問題についてだ。

領土問題は尖閣諸島、竹島と色々ある。そして、歴史の解釈が国ごとに違ったり、利権なども絡んで認めたくなかったり、色んな事情が交錯している。

それにしても僕は歴史を知らなすぎることに気付かされた。北方領土問題に関して、色々思ってたことはあるが、

論理的に順を追えば、こういう結論に至るのかと始めてわかった。

歴史は面白いけど血生臭かったり、人間の嫌な部分を見るようであまり知りたくないことも多いけど、事実を事実と受け止めないと、議論の舞台にも立てない。

発言する資格もない。もっと歴史の勉強が必要だと思った。

 

キャッシュレス化社会

いち早くキャッシュレス社会を実現した先進国は北欧で、スウェーデン、ノルウェー、デンマークはいずれもGDP対する現金の使用率が5%を下回る。スウェーデンに至っては現金使用率2%。つまりキャッシュレス率が87%で、決済現場で現金はほとんど使われないのだ。

 

各行政機関がバラバラに持っていたデータベースを連携させる「X-Road」というシステムをインターネット上に構築して、エストニアは一元管理の国民データベースを確立した。

驚くべきことにエストニアの国民データベースは、そうした決済の内容、つまり銀行口座の出入りまで把握していて、銀行口座から家計簿が自動的に組み立てられる仕組みになっているしたがって、税金は自動計算となり、個人も企業も納税申告する必要がない。ということで税理士や会計士の仕事は不要になって、それらの職業は今やエストニアから消滅してしまった。

この本を買う時に一番決め手になった項目。最近「キャッシュレス」についてかなり色々と考えていたので、正直世界がここまで進んでいるとは思っていなくて衝撃を受けた。

例えばアメリカはカード社会。個人も国もバンバン借金して消費してくれる。その消費パワーが世界の経済を支えてくれているのだけど。

中国やアフリカの国々では、銀行やATMというインフラが普及していなかったけど、その間に国民のほとんどにスマホというインフラが普及したおかげで、電子マネーの利用が爆発的に増えた。

インドも汚いお金の浄化目的で高額紙幣を廃止したところ、紙のお金から電子のお金に動いている。

そのように各国いろんな思惑がありながら電子マネー、キャッシュレス化に向かっている中で、日本は未だに現金主義がはびこっている。

僕個人としては、現金主義も良いと思っている。自分で使った分がきちんと目視できるし、お金のありがたみを感じながら取引ができるので。

その一方でミニマリズムの顔が、少額の買い物は電子マネー決済にして小銭をあまり持ち歩かないという作戦もとっているのだけど。

最終的に、ウェアラブル、ヒアラブルデバイスに全ての電子マネーが組み込まれ、もう物質としての貨幣のやり取りをする場面はいずれ生活からなくなるだろうし、

会計取引自体がなくなって、レジなども素通りすれば自動的に引き落とされるような仕組みになると思っている。

そういう時代が今現在北欧の方で既に始まっているのだ。

 

自動車業界の将来

そもそも既存の自動車業界の将来は暗い。以前にも指摘したが、今後クルマの世界では3つのことが起きる。

第一はシェアエコノミーだ。パーク24などで見かける簡便なシステムで使いたいときだけ使う、あのやり方だ。これで車の所有者は30%は減る可能性が指摘されている。

2つ目は電気自動車(EV : Electric Vehicle)化である。世界的な環境規制強化の流れで、二酸化炭素や窒素を吐き出す燃料機関のガソリン車は隅に追いやられて、クリーンなEVが主流になってくる。EV化で何が起きるかと言えば、クルマの値段が一気に下がる。内燃機関のクルマの部品点数は3万点と言われるが、モーター電池の新0ぷるな仕組みで動くEVはその10分の1、3000点の部品で済むからコストや組み立て工数は激減する。

さらにEV化とともに間違いなく進化するのが自動運転の技術。電気自動車で自動運転の時代になったら、クルマ社会はどうなるのか。

あらゆる技術が進み、時代は進化すると同時に、その側面には淘汰される企業や文化が必ず存在する。

今、IoTやVR、AI、ロボット、ディープラーニング、仮想通貨、ブロックチェーン、など様々な技術が同時にとても速いスピードで進化している。

それらはあきらかに世界を一変させるとてつもなく素晴らしい技術であり、人類に多大な影響を与えるが、それは良い面だけではない。

 

 

 

まとめ


この本はまだまだ僕が知らないこと、深く知らなかった歴史的事実について多く書かれている。

それだけで単純に勉強になったし、大口を叩く前にまだまだ知識不足だったことを実感させられた。

それと同時に、世界情勢は各々の国の歴史や地理的な問題、宗教、政治が複雑に絡み合って今の世界が作り上げられたのだとわかる。

これらの問題を一気に解決することはもはや不可能である。

絡まった糸を一カ所ずつほどいていく忍耐と全てをほどくために必要な長い時間が必要そうだ。